うさぎと国際結婚した話


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1:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 20:19:48.49 ID:5J1iUDJT0


桜が咲き始めたので記念に。

長文、自分語りになってしまいますが、ゆっくり書いていきます。

読んでくれる人いたら嬉しいです。



3:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 20:25:05.77 ID:m0PlxzOy0


どうやって



4:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 20:29:09.73 ID:5J1iUDJT0


当時、自分はとある国の大学生だった。

農学部に所属しており、専攻は動物医学。

一般教養をようやく終え、2年目の所属になったところだった。
この学部の卒業までの条件として、2年間のインターンシップの制度があった。

どこか動物医療機関に学期中に在籍し、そこであった患畜の症例や治療をレポートとして提出するというものであったのだが、毎学期、所属機関を変更せねばならず、私は新しい職場を探しているところだった。
その日、いつものように学部の校舎の掲示板にいい募集がないかと見に行こうとしていたのだが、別のクラス授業が終わったところで、あるクラスメイトが、新しく掲示された求人に、あなたにぴったりのものがあったから確認するといいよ。

と、教えてくれた。



5:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 20:34:36.80 ID:5J1iUDJT0


掲示を早速見にいくと、

「日本語の話せる受付スタッフ熱烈募集!!!」

の募集があった。
場所は学校から車で高速を使って20分ほどいったところにある、とある海沿いの町の動物病院だった。

早速、その病院に電話をすると、ボスがすぐに面接をしたいとのこと。

次の日には、レジュメをもって病院を訪れることとなった。
病院は高速をおりてすぐのところにあり、潮を香りのするとても美しい町の一角にあった。

これまで働いていた動物病院よりも数倍大きく、ペットショップが隣接していた。

大きな受付にはいり、カウンターで要件を伝えると、早速別室にて面接をうけることとなった。



8:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 20:40:31.82 ID:5J1iUDJT0


面接とはいっても、その時点で採用はすでに決まっていた。
ボスが言うには、この動物病院には、日本語を話すドクターが所属しており、この地域周辺の日本人の飼い主が山ほど来る。

英語がからっきしの人も多いので、ドクターが直接電話や、予約受けつけしなければならない状態で、一日も早く日本語のできるスタッフが欲しいとのことだった。
以前につとめていた動物病院ではバックヤードの仕事をしていたので、受付は初めてだ。と告げたが、まったく構わない。とにかく日本人の応対をしてくれる人が欲しいとのこと。

条件もよく、スタッフも感じが良さそうなこともあり、私は喜んでそこで働かせてもらうこととなった。



9:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 20:40:39.22 ID:LbyW06b00


日本の大学?



11:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 20:41:34.19 ID:5J1iUDJT0


>>9

日本の大学ではありません。

英語圏の国の大学です。





  • 12:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 20:42:39.07 ID:Xq5Vv4KrO


    スペックも書かずに始めるな



    14:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 20:50:42.87 ID:5J1iUDJT0


    >>12

    特に書くべきスペックもないんですが、
    元動物医療従事者です



    13:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 20:49:42.22 ID:5J1iUDJT0


    務め出してから知ったのだが、この日本語を話す先生は、この世界では結構有名な先生で、評判を聞きつけてかなり遠くから訪れる日本人多かった。

    その先生は仕事はとにかく親切丁寧で、腕も良かった。

    そして、なかなか予約のとれない先生でもあった。
    基本、どこの動物病院でも、この国では完全予約制。

    突然、病院にきてもなかなか獣医師の診察は受けられない。

    この先生との予約がとれず、結局は他のドクターの診察を受ける日本人の通訳として駆り出されることもしばしばあった。
    ドクターは他に3人いて、どのドクターも副業があったり、主婦だったりと忙しい人達ばかりだったが、ドクター達をはじめ、看護師も受付スタッフ達も本当にいい人ばかりで、とても楽しい職場だった。



    15:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 20:58:11.54 ID:5J1iUDJT0


    はじめに訪れた時に思ったとおり、その病院はかなり大きくて、犬専用のケージ部屋と猫専用のケージ部屋がそれぞれ独立してあった。

    各ケージ数も多く、何匹もの犬や猫が病院のペットとして飼育されていた。

    そして、そのほとんどが、飼い主に捨てられた子達だった。
    動物医療ははっきり言ってかなりお金がかかる。

    相場は日本円換算で、ドクターの診察20分でだいたい4000円ぐらいかかる。

    他に、ちょっと検査をしたり治療をしたりすると、一気に何万円とかかり、手術をすれば20万、30万は当たり前。

    がん治療にいたっては、専門機関でおこなうと100万円ほどかかるのが普通だった。
    時々飼い主が、治療代が払えない。とのことで、病院にペットを置き去りにしていった。

    その動物たちのために、新しい家を根気よく探すのも、スタッフの仕事の一つだった。



    16:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 21:03:58.66 ID:5J1iUDJT0


    その広い猫のケージ部屋の一番奥のケージにそのうさぎは居た。
    ケージには張り紙がしてあり、そこには

    「注意!感染症をもったうさぎ!

    かならず世話をする時には手袋を着用し、終わったあとは手洗いを徹底すること!」

    と、かかれていた。
    一度、看護師がケージの清掃をしているところを覗いたとがあったが、ケージの一番奥の隅に座り込んで、こちらを睨みつけるだけで、実に可愛げのないうさぎだった。
    そのうさぎの名前はStew(シチューもしくはスチュー)といった。



    17:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 21:14:47.20 ID:5J1iUDJT0


    受付スタッフの一人がずいぶんとスチューを可愛がっており、色々と教えてくれた。
    彼は元々、うさぎを多頭飼いしているおうちで生まれ、飼育されていたそうだ。

    一年ほど前、生後半年を過ぎた頃に、首に大きな腫瘍ができて来院したのだが、手術代が高くて払えないから、と、飼い主にこの病院に捨てられてしまった。

    病院のペットうさぎとして手術をうけ、新しい家を探すこととなったのだが、ある日、首が傾き始めた。

    これは「傾斜」と呼ばれる症状で、便検査を行ったところ、うさぎ特有のとある感染症にかかっていることがわかった。

    この病気は感染力が強いため、他のうさぎからは一切隔離されなければならない。

    また、残念なことにこの感染症に対する治療法はない。不治の病だ。

    一応、抗生物質を投与していたが、治療にはやはりいたらず、首は傾いたまま。
    「彼は一生独身で、うさぎ仲間も作れない。1人ぼっちでこれからずっと生きていかないといけないのよ」

    と、そのスタッフは目に涙を浮かべ言った。



    19:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 21:23:07.54 ID:5J1iUDJT0


    スタッフ達も、決してスチューの新しい家探しを諦めていたわけじゃなかった。
    この国のその地域では、基本的にペットの生体店頭販売というのは稀で、ブリーダーから直接購入する人もいるが、審査がかなり厳しいこともあって、ほとんどの人はボランティアグループやシェルターからペットを引き取る。

    病院スタッフの多くが、そういった里親さがし団体に所属しており、この一年間、みんな必死になってスチューを引き取ってくれる人を探していた。
    でも、やはり新しい飼い主は見つからなかった。

    感染症であるということ。

    不治の病であるということ。

    トイレトレーニングが完了していないということ。

    また、スチューが人になつくタイプのうさぎではなく、物凄く警戒心の強い、愛想の悪い攻撃的なうさぎであるということがネックとなっていた。
    スタッフの何人かはスチューを引き取りたがってはいたが、どうしても他のペットがいたり、家族の問題があったりと、引き取ることができなかった。



    20:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 21:29:32.39 ID:5J1iUDJT0


    「彼はバナナ大好物なのよ」

    と、スチューを可愛がっていた受付スタッフが教えてくれた。
    聞くと、実は彼女はスチューを連れて桜を見に行ったことがあるらしい。
    近くにとある公園があり、そこに明治時代?に日本から植林された桜並木があった。

    そこは彼女のお気に入りの場所で、彼女はそこにスチューを連れてピクニックに行ったことがあるそうだ。
    芝生の上で、スチューやはり決してはしゃぐこともなく、つまらなさそうに、ただじっとしていただけだったそうだが、ランチのバナナをあげた時だけ、ボボボボッ!と鳴き声をあげ、くるくる回って嬉しそうにしていたそうだ。



    21:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 21:37:12.71 ID:5J1iUDJT0


    新しい動物病院に受付として勤め始めて、約半年がすぎた頃、病院内のスタッフミーティングに出席した。
    スタッフミーティングは月一でランチタイムに開かれており、病院内の連絡事項や、新しいルール決めや、その月の一番の従業員選挙をやったりと、恒例のものではあったのだが、私は学生でパートタイムであったため、中々それまで、出席できずにいた。
    その日は、たまたま学校の授業が休みで勤務日。

    大量のランチのピザやサンドウィッチにひかれて、私はいそいそとはじめてのミーティングに出席した。
    ミーティングは滞りなく進められ、終わりに差し掛かった頃、ドクターの一人がみんなに相談したいことがある。と言い出した。



    22:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 21:44:12.69 ID:5J1iUDJT0


    「実はスチューのことなんだけど・・・」

    と、そのドクターは言った。
    「彼はこの病院にきて、そろそろ一年半になります。

    この一年半の間、私たちは、必死になって彼の新しい飼い主を探してきました。

    でも、見つけることができなかった。

    彼ももう2歳になります。

    正直言って、感染症の容体は決して思わしくない。

    高額な抗生物質を毎日投与していますが、あまり効果はあらわれていないようです。

    そこで、私からの提案になりますが、私は彼をPTSするべきだと思います。」
    PTSとはいわゆる動物医療で隠語で、Put to sleep、略してPTS。

    つまり、スチューを安楽死すべきではないか、とのことだった。



    23:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 21:50:28.61 ID:5J1iUDJT0


    スタッフ達は誰も何も言わなかったし、何も言えなかった。
    「このまま彼を、死ぬまで病院の奥の日の当たらないケージの中で、ただただ生かしておくのはあまりにも残酷だと思う。」
    と、ドクターは主張した。
    スタッフ達はみんなスチューを可愛がってはいたが、やはり仕事の合間ということもあり、一ヶ月間ほかりっぱなしで、ただ、ケージを掃除してもらい餌をもらって過ごす。というのもざらだった。

    「もし、異論がなければ、来週PTSします。」

    と、ドクターは最後に続けた。



    25:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 21:55:56.54 ID:5J1iUDJT0


    私ははっきり言って全くスチューに対して愛着はなかった。

    姿をみたのも、2回程度。

    なついてくれたわけでもなく、ただ睨みつけられただけ。
    でも、安楽死の言葉を聞いた時、始めて動物病院働き出した時の事を鮮明に思い出してしまった。
    当時、学部の一年生で全く知識も豊富ではなく、はじめての動物病院勤務での初日のことだった。

    訳もわからずその日を過ごし、勤務時間も終わりに差し掛かったころ、その病院のドクターに、ちょっと手伝ってもらえる?と呼ばれた。
    ドクターと一緒に居たのは、年老いた一匹のレトリーバーだった。



    26:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 22:01:18.72 ID:5J1iUDJT0


    彼はガン患者で、全身にガンが転移している状態だった。

    もはや立ち上がることもできず、ペタっと床に寝そべるだけ。
    ドクターは私に、「これからPTSをうける患者さんよ。」

    と教えてくれた。

    このガン患者レトリーバーは、飼い主さんとのおわかれを既にすませ、これから麻酔注射を受けるところだった。
    「私は注射の準備をしてくるから、一緒にいてあげてね」

    と、ドクターに言われ、私はその犬の横にぺたっと一緒に座り込んだ。

    名前も知らないその患者さんは、頭をあげるのもつらそうで、くったりと前足の間に頭をおいていた。
    ドクターが準備を終え、レトリーバーを治療台の上にのせたのだが、その体はレトリーバーとは思えないほど軽かった。



    27:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 22:07:26.42 ID:CE+HBai00


    うさぎのシチューってどんな味するの?



    29:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 22:08:37.35 ID:5J1iUDJT0


    >>27

    美味しいですよ!



    28:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 22:08:15.98 ID:5J1iUDJT0


    「大腿部の大動脈にIV(静脈注射)してあげてね。」

    と、いわれ、私は言われたとおり、そのガン患者のレトリーバーの右脚の静脈に麻酔薬を注入した。
    通常、安楽死は麻酔薬のオーバードーズによって行われる。
    特定の麻酔薬を大量に注入された患者は、ゆっくりと眠り、やがて心臓が停止して死に至るのだが、この患者さんは眠りについたものの中々心臓が停止しなかった。
    「液はもれていないみたいだけどね・・・」

    ドクターは右脚を確認してそうつぶやいた。

    「きっとまだこの子、死にたくないんだね。」

    ドクターは少し微笑みながら、追加の麻酔薬を心臓に直接注入した。
    私は泣くのをこらえるので必死で、その日の作業をおえ、自分の車にもどったあと、おいおいと声をあげて泣いた。



    31:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 22:14:13.83 ID:5J1iUDJT0


    スタッフが飼い主の前や、患者さんの前で泣くのは許されてなかった。

    相手を不安にさせてしまうからという理由と共に、ドクターや看護師は飼い主のカウンセラーとしての職務もあるからだ。

    動物たちの治療も大事な業務の一つだが、飼い主さんの心のケアも重大な業務の一つ。

    特にペットロスに対する心理ケアについては、大学で十分に講義をうけ学んできた・・・つもりだったが、ダメだった。
    動物病院でスチューの今後について聞いた時、その時のことが頭から離れなくなった。

    そして、私は思わず。

    「連れて帰ります!!!」

    と叫んでしまっていた。



    34:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 22:23:15.34 ID:5J1iUDJT0


    何も考えず、連れて帰る。と言ってしまったのだが、スタッフ達は大喜びだった。
    薬代、餌代はみんなで寄付するから!

    とか。

    去勢手術はいつしよう???

    とか。

    今日から連れて帰っていいよ!

    とか、大盛り上がりだった。
    その時、私は妹と同居しており、たまたま彼氏が日本からきていた。

    いきなり連れて帰ったらびっくりするだろうなあ・・・なんて思いつつ、私はスチューを連れて家に帰った。



    36:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 22:29:47.68 ID:5J1iUDJT0


    案の定、妹も彼氏も驚いてはいたが、さっそく三人でスチューの為の備品を買いに出かけた。
    正直なところ、うさぎに関してはほとんど知識がなく、何を揃えていいのかもよくわからなかった。

    適当に必要だろうと思われるものを購入し、スチューの為の部屋をつくった。
    当時、いわゆる2LDKのアパートにすんでおり、ダイニングが空いている状態だった。

    そこで、ダイニング部分を柵で囲み、6畳ほどのスペースをスチューに与えた。

    が、スチューは相変わらず部屋の隅にうずくまっているだけで、隠れられるように、と与えたダンボールの中に閉じこもって出てこなかった。
    後から気づいたのだが、スチューはなぜかフローリングなどのつるつるした床が歩けないうさぎで、ダイニングスペースはカーペットではなかった為に、足が滑ってしまい移動ができなかったのだった。



    39:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 22:34:21.84 ID:5J1iUDJT0


    妹と二人で、

    スチューに日本の名前もつけた。
    スチューを連れてくる時に、

    受付仲間が、

    「日本人の奥さんがもらえるなんて、

    スチューは幸せ者ね。」

    と、言ったからだった。
    常々、スチューなんて、

    うさぎのシチューみたい!

    縁起悪い!

    と、思っていたので、

    日本の名前は、

    思いっきり縁起のいい名前にした。



    44:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 22:43:30.57 ID:5J1iUDJT0


    スチューをひきとって数日後、

    ドクターと去勢手術の相談をした。
    彼は、まだ2歳と若く、いまのところ、

    感染症の著しい進行は抑えられている。

    体力もありそうだから、今後の為にも、

    早めに手術することにした。
    通常うさぎはオスの場合は10年ほど生きる。

    うさぎはプレイボーイのマークにもなっているように、

    かなり性欲が強く、

    また多産な生き物でもあるため、

    メスで不妊手術をしていないと、

    生殖器官系の病気にかかり、

    3ー4年で死んでしまうことが多い。
    スチューは幸い男の子。

    去勢手術は必要ないといえば必要ないのだが、

    今後、治療が必要とする状態になった時、

    その時の体力次第によっては、

    治療が不可能であることが考えられる。
    今後のリスクを考えても、

    今、速やかに手術を行うべき。

    というのが、ドクター達の見解だった。



    46:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 22:48:40.69 ID:5J1iUDJT0


    手術の日が決定し、

    スチューを病院に連れて行った。
    その日は、

    執刀してくれるドクターの旦那さんが病院にきていた。
    「スチューには僕の名前をあげたんだよ!」

    と、旦那さんは嬉しそうにおしえてくれた。
    スチューのStewは、

    うさぎのシチューからとったんじゃなくて、

    この旦那さんの名前、Stewart(スチュワート)からとった、

    スチューだった・・・。
    旦那さんに、ごめんなさい!

    と、心の中で詫びながら、

    私はスチューを治療室に連れて行った。



    48:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 22:53:57.05 ID:5J1iUDJT0


    手術開始前に、

    スチューの耳の血管に

    常駐針をいれなければならなかった。
    早速、気化麻酔でスチューを眠らせ、

    看護師が血管に針を挿入。

    が、どうしても入らない。
    次に、一番腕のいい看護師がトライしたが、

    やはり針は入らなかった。
    遂にはドクターが、

    巨大な拡大鏡を頭につけ、

    看護師に変わり挿入。

    が、どうしてもはいらない。
    結局、タイムリミット。
    これ以上は危険ということで、

    気化麻酔を中断し、

    スチューが目覚めるのを待った。



    49:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 22:59:26.17 ID:5J1iUDJT0


    しばらくしてスチューが目を開けたが、

    極度の緊張とストレスからか、

    ローリングが始まった。
    スチューの首は、

    普段右にむかって傾いているのだが、

    それを戻そうとしているのか、

    なぜか、さらに首を右に傾ける。

    その結果、壊れたおもちゃのように

    体ごとぐるぐると回ってしまうのだ。
    ローリングを続けると、

    体を床などに叩きつけてしまって

    骨折してしまう恐れがあった。
    うさぎは骨が非常にもろい生き物。

    骨折した場合、命取りとなってしまう。

    ほとんどの場合、

    骨折したうさぎは安楽死させられる。
    私たちは慌てシチューの体をタオルでくるみ、

    膝の上で抱えた。



    50:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 23:03:06.31 ID:5J1iUDJT0


    15分ほどでスチューの体は落ち着き、

    一人でじっとしていられるようになった。
    とりあえず、今回の手術は中止。
    またスチューの様子を見て行おう。

    と、いうこととなった。
    家に連れて帰り、部屋に戻した。

    スチューはいつものように、

    ダンボールに引き篭もった。
    が、異変はその夜起きた。
    スチューのローリングが

    止まらなくなってしまった。



    52:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 23:03:58.22 ID:VENXqS4b0


    スチューーー((( ゚д゚ ;)))



    55:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 23:16:29.07 ID:5J1iUDJT0


    昼間、病院で教わったように

    タオルにくるみ抱えてみるが、

    まったくローリングは収まらなかった。
    妹にスチューを抱っこしててもらい、

    片っ端から近隣の夜間動物病院に電話し

    うさぎを診れるドクターがいるか聞いた。
    幸い、近くの夜間診療所に

    うさぎを診察できるドクターが居た。

    病名と症状を告げ、予約を取り、

    急いで病院に向かった。
    車の中、助手席で

    妹がスチューを抱えていたが、

    ローリングが収まる気配は全くなかった。
    病院に到着すると夜勤の看護師が応対してくれた。

    スチューの状態をもう一度告げ、

    スチューに飲ませている抗生物質の小瓶を手渡した。
    看護師はドクターと話してくるから、

    と言って、奥の治療室へ行った。

    スチューの様子はますますひどくなっていて、

    タオルから飛び出して床に落ちそうになるのを、

    必死に抱えてとめていた。



    56:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 23:20:32.30 ID:5J1iUDJT0


    しばらくして看護師がでてきた。
    結論としては、できることはない。

    とのことだった。

    いま、スチューに飲ませている

    抗生物質はかなり強いもので、

    これ以上のものは出せない。
    選択肢としては二つ。

    と、看護師はいった。
    何日かかるかわからないけど、

    ローリングが止まるまで

    スチューを抱え続ける。

    もしくは、

    いまこの場で、安楽死してしまう。
    この二つしかできることはない。

    と、ドクターが言った。とのことだった。



    57:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 23:24:42.52 ID:5J1iUDJT0


    私と妹は話し合い、

    一週間頑張ろう。と決めた。
    日中は私は大学と仕事があるので、

    夏休み中の妹が抱っこする。

    夜は私が抱っこすることとした。
    家に戻り、私は床に毛布をひいて寝そべった。

    その上に妹がタオルにくるんだスチューをのせ、

    腕でがしっと抱えて、一晩耐えた。
    幸い、スチューのローリングは明け方には収まり、

    日が登る頃には、一人でじっとしていられるようになった。
    安楽死しなくてよかったねー。と、

    妹と共に私は安堵した。



    59:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 23:31:42.14 ID:VENXqS4b0


    ローリングってどのくらいの頻度でしてたんだろ?



    60:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 23:40:57.13 ID:5J1iUDJT0


    >>59

    手術の晩はまったく止まらない状態でした。

    10時間拘束しましたが、少しでも手をゆるめると、

    回転してしまう状態でした。
    その後、完全にローリングがみられなくなるまで、

    約1年ほどかかりました。

    体調が悪くなると、症状がでるようでした。



    61:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 23:42:14.30 ID:7TP8nXDm0


    おもしろい



    63:名も無き被検体774号+:2012/04/02(月) 23:59:00.68 ID:5J1iUDJT0


    その後、

    スチューはたびたびローリングを起こしたが、

    その頻度も時間も次第に収まっていった。
    主治医のドクターによれば、

    おそらく極度のストレスから

    来たのであろうということ。

    また、今後、去勢手術は控えた方がいい。

    とのことだった。
    「この子は本当にストレスに弱いから

    やはり、あまり長く生きられないかもしれないね。」

    と、ドクターは言った。

    「何年ぐらい生きられるでしょう?」

    と、私が聞くと、ドクターは

    「とりあえず、高齢期に入る5歳をめざして頑張りましょう」

    と言った。

    スチューはこの時点で2歳。

    5歳までは、あと3年。
    いっぱいバナナを毎日食べさせよう。
    そう決意して家に帰った。



    64:名も無き被検体774号+:2012/04/03(火) 00:00:15.49 ID:5J1iUDJT0


    それから暫くして妹が日本に帰国した。

    スチューとの二人っきりの生活が始まったが、

    相変わらずスチューは懐いてくれなかった。
    すでに、ドクターが言った3年は過ぎていたが、

    スチューは毎日元気だった。
    妹が帰国した頃、

    私は重要なクラスの最初の試験で失敗していまい、

    学期が始まって数週間たらずで

    再履修が決定してしまった。
    ものすごく落ち込んで

    メソメソとスチューの部屋で泣いていたら、

    スチューがなんの気まぐれか、

    すり寄ってきてくれたことがあった。
    後にも先にも、それ一回きりなのだけど、

    その時、はじめてスチューを引き取って良かったな。

    と思った。



    65:名も無き被検体774号+:2012/04/03(火) 00:01:48.69 ID:5J1iUDJT0


    スチューを引き取って5年目の冬。

    スチューは7歳になっていた。
    私は別の動物病院で働いていたのだが、

    ビザの関係で日本に引き上げなくてはならなくなった。
    スチューをどうするか。

    私はものすごく悩んだ。
    新しい飼い主を探すか、

    もしくは日本に連れて帰るか。
    そもそも飛行機で日本まで半日以上かかる。

    スチューはそれに耐えられるのだろうか?
    911が起こるまでは、

    動物を連れて飛行機にのっても、

    ある程度色々融通がきいたのだが、

    テロ以降は厳しくなってしまって

    かなり条件としては厳しかった。
    当時の同僚やドクター、いろんな人に相談した。

    みんなの結論としては、、、

    万が一のことがあっても、もういいじゃん!

    だった。
    なんとなく吹っ切れたような気がして、

    私はスチューを日本に連れて帰ることにした。



    66:名も無き被検体774号+:2012/04/03(火) 00:03:55.70 ID:5J1iUDJT0


    検疫の為の手続きはお手の物だったので、

    全く問題なく準備は完了した。
    彼氏が日本から迎えにきてくれて、

    私と彼とスチューと、

    3人で日本に帰ることになった。
    帰る直前に、

    スチューを引き取った当時の病院のスタッフと再会した。

    スチューを日本に連れて帰ること。

    おそらく、

    スチューは日本で一生を終えることになること。
    彼女は殊の外、

    それを聞いて喜んでくれた。

    「一生をケージで終えるだけだったのかもしれなかったのに」

    彼女は言った。
    「海を超えて日本にいくのね。

    普通のうさぎで体験できないことを

    スチューが体験できるなんて本当に素敵だわ。

    スチューに本当の桜を見せてあげてね。

    日本の桜はとっても綺麗なんでしょうね。」

    彼女は「スチューへおやつだよ。」

    といって来年のカレンダーをくれた。
    「バナナだと一緒に検疫だからね」

    とのことだった。



    67:名も無き被検体774号+:2012/04/03(火) 00:30:47.35 ID:5J1iUDJT0


    日本に帰る前日、

    空港近くのホテルで一泊した。

    いつもの家の寝床とは違ったけど、

    スチューは気にしていないようだった。
    次の日、空港に行き

    スチューを空港にて預けた。
    日本までは乗り換えが一度あり、

    乗り換える空港ではスチューに会うことはできない。

    次に会えるのは日本だった。
    ケージには干し草を山ほど詰めた。

    とっておきのふわふわのタオルも詰めた。

    水もたっぷり用意した。

    あとはスチューの精神力かかっていた。
    空港でわかれ、

    一本目の飛行機に乗り込んだ。

    中継地点まではわずか1時間ほどの短いフライト。
    中継地点に到着し、

    乗り換えの為の飛行機を空港で待っていた。

    乗り換えまで時間はわずか2時間。

    手続きをして次の飛行機への搭乗を

    ゲート前のイスに座って待っていた。
    搭乗開始まで15分をきったところで、

    カウンターから私は呼び出された。

    慌ててカウンターへいくと、

    ホステスが「実は・・・」

    と口を開いた。



    68:名も無き被検体774号+:2012/04/03(火) 00:31:31.75 ID:5J1iUDJT0


    「大変、申し上げにくいのですが、

    お客様がお連れになったうさぎが、

    実はまだこの空港に到着しておりません」

    と、彼女は言った。

    「こちらのミスで、

    お客様がお乗りになった飛行機に

    うさぎをのせることができませんでした。

    いま、次の便にこちらの空港に向かっていますが、

    乗り換えの飛行機には間に合いません。」
    私は頭が真っ白になった。
    「もし、お客様がうさぎをお待ちになって

    明日のフライトに変えられるのならば、

    今晩滞在のホテルと明日の航空券を手配いたします。

    ただし、検疫の関係上、

    日本までは、うさぎにお会いになることはできません。
    もしくは、今日はこのまま日本に先に行かれるならば、

    明日の飛行機で、必ず我々が責任を持って

    貴方のうさぎを日本までお連れします。
    10分後の搭乗までにお客様がお決めください。」
    ホステスにそう言われ、

    私は再び悩んだ。



    69:名も無き被検体774号+:2012/04/03(火) 00:32:25.27 ID:5J1iUDJT0


    彼は次の日仕事があり、

    絶対にその日のフライトで戻らねばならなかった。

    一人で残るか、先に帰るか。

    ただ、残ったところで

    スチューの様子が見られるわけではない。
    「必ず、日本に無事につれてきてくれますね?」

    と私がいうと、

    「必ず、お約束いたします。無事にお連れいたします」

    と答えてくれた。
    私は、先に日本に帰ることにした。
    飛行機に乗り込んだあとも気持ちは落ち着かなかった。
    ご飯は、水は大丈夫だろうか。

    私の選択は正しかったのだろうか。
    頭がグルグルしていた。



    70:名も無き被検体774号+:2012/04/03(火) 00:33:56.58 ID:5J1iUDJT0


    飛行機は出発時刻をすぎても飛ばなかった。

    しばらくして、

    「ただいま枕を積み込む作業をしております。

    出発までしばらくおまちください」

    という、アナウンスが流れた。
    そんなこともあるんだね。

    と、彼と話していたら、

    一人のフライトアテンダントが駆け寄ってきた。
    彼女はトントンと私の肩を叩くと

    「貴方のうさぎ、

    この飛行機にのったわよ。」

    と小声で教えてくれた。
    その後、日本まで順調に飛行機は飛び、

    無事に日本に到着した。

    飛行機から降り、入国手続きをし、

    荷物受け取り口へと向かった。
    胸がドキドキして怖かった。

    スチューは生きているのだろうか。
    おじさんに連れられたスチューのケージがみえた。
    私はスチューに駆け寄り、ケージを覗き込んだ。

    スチューは生きてた。

    とても元気で、そしてすっごく怒って暴れていた。
    うさぎは一日の拘留があるのだが、

    検疫官に預ける時も、めちゃくちゃ暴れていた。

    検疫官の人は、笑って

    「元気なうさぎさんですねー」

    と褒めてくれた。



    71:名も無き被検体774号+:2012/04/03(火) 00:35:14.02 ID:5J1iUDJT0


    その年の春には、

    スチューを連れてお花見に行った。

    スチューは特に感動もないようで、

    もさもさとバナナを食べてた。
    それから5年。
    スチューは12歳になりました。

    今も元気で私の横でもりもりとご飯を食べています。
    当時の同僚に、まだ生きてるよ。

    というと、

    まじでまだ生きてんの!?

    と驚かれます。
    今年も恒例のお花見にいけそうです。

    今年の夏を越してくれるのかはわからないけど、

    いつまでも元気でご飯を食べて欲しいです。
    以上になりますが、

    拙い文章なのに読んでくれた方、

    本当にありがとうございました!



    72:名も無き被検体774号+:2012/04/03(火) 00:39:10.79 ID:W2jJ8FTF0


    乙でしたー!!
    うさぎってバナナ食べるんだね♪

    キャベツみたい葉物を食べてるって思ってたww
    これからもスチューと仲良く暮らして下さい!

    とっても暖かい気持ちになれましたw

    ありがとーー!!



    73:名も無き被検体774号+:2012/04/03(火) 00:43:04.31 ID:5J1iUDJT0


    >>72

    ありがとうございます!
    にんじん、キャベツも食べますが、

    バナナを見ると、今でもはしゃいで踊ってくれます。

    おじいちゃんなのに恥ずかしいです。



    75:名も無き被検体774号+:2012/04/03(火) 01:55:00.22 ID:iN/9Q3TJ0


    >>1さんお疲れ

    すごくいい話で良かった



    77: 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 :2012/04/03(火) 04:35:01.42 ID:qP0tUR/h0


    よかった。スチュたん幸せになれて。

    感動してちょっと涙出た。



    78:名も無き被検体774号+:2012/04/03(火) 05:08:27.50 ID:PUe7muujO


    昔うさぎ飼ってたから、感情移入して読んで泣いてしまった

    スチューちゃん元気で良かった、沢山一緒に花見して沢山大好きなバナナを食べさせてあげて下さいね

    そしていつまでも仲良く健康でいて下さい

    いい話を有り難うございます



    80:名も無き被検体774号+:2012/04/03(火) 07:11:52.64 ID:lIi9s0oF0


    重い病気を抱えながらも12年も生きてるなんて大切に育ててもらったんだな
    まだまだ元気で一緒に過ごせるように祈ってる



    82:名も無き被検体774号+:2012/04/03(火) 08:05:59.32 ID:jeDSGBlr0


    ひざひざに良スレ見た気がする

    ほっこりした




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    コメント一覧

    1. 名無しのソニックブーム

      ちょっと泣いてしまった。
      もうそろそろな年齢なんだろうけど、頑張って長生きして欲しいな。

      Reply
    2. 名無しのソニックブーム

      バニーガールだと期待したら本当にうさぎだったでござる

      Reply
    3. 名無しのソニックブーム

      俺は自分のウサギと離れられないから旅行は無理だなぁ

      Reply
    4. 名無しのソニックブーム

      俺はミニウサギを飼っていたが八年チョロでお月様に帰ってもうた。
      一人暮しを始めた時に迎えて、嫁さんと籍を入れる前日に旅立った。
      一人暮しの本当の相棒だった。
      12年も生きているスチューの話しを聞いて少し涙が出てきたのはここだけの秘密だ。

      Reply
    5. 名無しのソニックブーム

      良い話だー

      Reply
    6. 名無しのソニックブーム

      スレタイは嘘か

      Reply

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